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群馬大学との共同研究
“産学連携プロジェクト”

自動車のエンジンやモーターなど、各機能の開発を支援するためにシミュレーション技術を提供してきた両毛システムズ。培ったノウハウを活かし、産学連携プロジェクトに参画。「自動運転」という経験のない分野で、試行錯誤しながら研究に励んだチームの軌跡を追う。

MEMBER

  • 磯貝 孝夫

    1992年入社。組込事業部部長兼執行役員。組込事業の立ち上げから全体の指揮をとる。

  • 伊藤 裕紀

    2012年入社。システムエンジニアとして経験を積み、本案件ではプロジェクトリーダーを務める。

  • 坂巻 雄輔

    2014年中途入社。技術職として自動運転の研究ではおもにAIの分野で開発を担当。

  • 髙橋 明弥

    2017年入社。システムエンジニア。自律搬送ロボットの研究でサブリーダーを務める。

01section
自社の得意分野を武器に、
共同研究のパートナーへ

新たな技術の研究開発を目的に、民間企業と教育・研究機関が手を取り合う「産学連携」。ITや通信技術の分野でも盛んに行われる昨今、両毛システムズと群馬大学の共同研究もひとつのプロジェクトとして始動した。研究のテーマは「完全自立型自動運転における制御システムの評価手法の共同研究」。つまりは自動車の自動運転に関する研究を共同で行おうというものである。実際の研究は2018年4月にスタートしたが、そこへ至る背景には、両毛システムズの積極的な働きかけがあった。

当時の両毛システムズは、武器であるシミュレーション技術を活かして新たなビジネス展開ができないかを模索していた時期。そこへ群馬大学の自動運転に関する研究の話が舞い込み、シミュレーション技術を用いた共同研究の提案へ出向くこととなった。群馬大学は、研究準備としてすでに実車のバスを用意し、自動運転コントローラーのシステムを組み、実証実験用の建物や実機を走らせるためのコースを建設する計画を立てていた。しかし、実機を使った実験を行うには、危険あるいは経済的損失の恐れがある。たとえば人や建物にぶつかるシーンの実験だ。バーチャルな実験ならば命の危険はなく、建物や実機が破壊される心配もない。24時間365日いつでもテストが実施でき、天候や障害物などをまったく同条件にして何度も再実験できるメリットもある。

こうした両毛システムズの提案と群馬大学のニーズがマッチしたことにより、4年間にわたる共同研究がスタート。プロジェクトの長としてチーム発足を任された磯貝は、プロジェクトリーダーに伊藤を据え、新卒で入社したばかりの髙橋をチームに加えた。中途で入社した坂巻はプロジェクトの途中から加わり、AIに関する研究を担当。伊藤は「プロジェクトリーダーを任された当初は正直、不安しかありませんでした。自動運転のシミュレーションは未経験の領域で、使ったことのないテスト装置を用いた研究もわからないことだらけ。でも、新しいことに挑戦できるワクワク感はありました」と当時を振り返る。

02section
地道に積み上げた研究の成果が
展示会で日の目を見る

自動運転に関する研究は、ふたつの軸から構成される。ひとつは、HILS(Hardware In the Loop Simulator)に関する研究。もう一方は、AIに関する研究だ。どちらもレベル4(無人かつハンドル装置がない自動車で、限定的な環境の道路を走行できる状態)あるいはレベル5(レベル4の条件に加え、あらゆる道路を走行できる状態)以上に向けた自動運転システムについて、シミュレーション技術を用いた検証を行うことが目的である。

前者の研究は、自動運転のバス(物理的な車両)をコントロールするAutomated Driving Systemという装置に、HILSと呼ばれる装置を繋げてコントローラーを騙すことで、仮想環境上にあるバスを実際の道路上にあるように動かすというもの。それにより、公道でリスクのある実証実験をせずとも、組んだソフトが正しく作動しているか検証できる。後者の研究概要は、AIバス・AIバス停に関するものだ。人間が手動で運転するバスの場合、バス停で待っている人を運転手が認識し停車するが、自動運転のバスにもバス停で待っている人の存在を認識させ、停車させる必要がある。それを可能にするため、バス停にAIを組み込み、待つ人の情報をバスへ返すことで停車させる仕組みを研究した。

一連の研究は、先進技術の展示会 『自動運転EXPO』と『あいちITSワールド』に出展。一般のお客様の目に触れる機会を得た。「自作で組んだアルミフレームにセンサーやカメラを取り付け、持ち込んだコンピュータでバーチャルなバスを動かすことで、AIバス停が体験できるブースを作りました。お客様の反応がよく、研究の手応えを感じました」と坂巻は現場の様子を振り返る。伊藤も「自動車メーカーの関連組織から『論文を出してみませんか?』とお声がけいただいたり、お客様から案件のお話をもらったり。私たちの取り組みが世に知れ渡ったという意味では、展示会がこのプロジェクトのターニングポイントになりました。自分自身のモチベーションが上がったできごとでもあります」と続けた。二度の展示会出展と、前橋市でのAIバスの実証実験を経て、自動運転に関するプロジェクトは終了。群馬大学との共同研究は、次なる産学連携プロジェクトへと引き継がれることとなった。

03section
研究で培った技術とノウハウを
新たなプロジェクトに応用

新卒で入社した髙橋は、入社後の初期研修を終えてすぐ、産学連携プロジェクトにアサインされた。「知識も経験もない状況から、自分で調べて学びながら研究を進めていました。研究の内容以前に企業で働いた経験がなかったので、なにもかもがわからないところからのスタート。最初は自分のことで精一杯で、まわりが見えてくるまでに時間がかかりました」と入社当時の心境を語る。先輩や上司に相談しても、「研究」というプロジェクトの性質ゆえに、誰も答えを持ち合わせていない。手探りのなか、4年にわたる自動運転の研究を経て、幅広い知識と技術を培った。

それを応用し、現在は自律搬送ロボットの研究を進めている。これも群馬大学との共同研究であり、髙橋はプロジェクトのサブリーダーを任された。研究概要は、物流倉庫内でロボットが人間にピックアップする商品を画面で知らせ、商品を載せられたロボットは次の商品の場所や集荷場まで自動で移動するというもの。それも4〜10台のロボットを同時に走らせ、それぞれがぶつからずに最短ルートを通り、さらに人間をなるべく歩かせないような動きが求められる。そのための計算やシミュレーションを行うのが研究のおもなテーマだ。

自律搬送ロボットの研究はまだ始まったばかりだが、これがカタチになれば、新たなビジネスの柱として展開可能な要素が数多く詰まっている。物流倉庫や工場などは人手不足が顕著で、課題の多い業界だ。髙橋は「困りごとを抱える業界を支援できれば世の中に貢献できるのではないかと、可能性を探りながら研究しています」と展望を語る。産学連携の研究は、一部の人にしか手の届かないような技術ではなく、人々の身近な暮らしをより豊かにする未来へと繋がっているのである。

04section
産学連携プロジェクトを
通して開かれた
新規ビジネスの扉

自動運転に関する産学連携プロジェクトを振り返り、磯貝は語る。「私は方向性だけを決めて、実際の作業はメンバーに任せていました。研究なので、他の部署のような納期はありません。つまり、適当に先延ばしにすることもできる。しかしそうならなかったのは、自分に厳しく、チームのミッションを自分ごととして捉え、尽力してくれた各メンバーの存在が大きかったと思います。納期がないとはいえ時間は有限なので、研究のなかでもどの部分を深く掘ればいいかの判断が重要です。リーダーの伊藤が『そこはもう大体わかったから、こっちを掘ってみて』と的確な指示出しをしてくれたからこそ、限られた時間のなかで成果が出たのではないでしょうか」。

チームの功績は、研究の成果を挙げたことだけに留まらない。大きな変化でいえば、自動運転のプロジェクトを知った大手自動車メーカーと新たな取引が始まった。プロジェクト以前からお付き合いしていたお客様からも「両毛システムズってこんなことができるんだ」と反響を呼び、受注案件が拡大。研究が研究に終わるのではなく、その後のビジネスにも着実に繋がっている。

自動運転やAIの技術は、業務効率化やプロダクトの開発期間短縮など、多岐にわたる分野に恩恵を与えることが可能だ。両毛システムズの今後のミッションは、IoTのセンシング技術やGPUを使った情報処理技術などを取り入れ、それをさらに応用しながら新たな価値を創造することである。技術だけでなく、両毛システムズが強みとする「お客様自身も気付いていない潜在的な要望を汲み上げ、一緒に悩み、お客様の一歩先をリードする姿勢」を武器に、これからも先進的な取り組みを続けていく。